ゆうべつ@サッポロ/道立図書館にて<3>観光パンフレット

 道立図書館(江別市)の所蔵資料から湧別の話題を探す企画の最終第3弾は、観光パンフレットや観光ガイド。ふるさと特派員通信の最終回でもあり、写真をなるべくたくさん取り込んで、にぎやかにフィナーレを飾りたい。

 さて、図書館の検索システムを使って「湧別 観光」で探すと46件がヒットした。すべてがパンフレットやガイドではないが、この中で発行年がはっきりしていて最も古いのは、昭和36(1961)年の「網走国定公園サロマ湖」。翌年にも同じタイトルで発行されている(ともに湧別町観光協会発行)。国定公園に指定されたのは33年なので、もしかしたら33~35年にも発行されていたかもしれない。

観光パンフレット1
観光パンフレット2

 写真のパンフレットは1年違いだが、スタイルが横から縦に変化している。ただ、サロマ湖の紹介や周辺の見どころなど内容はおおむね共通している。少し見にくいが、観光協会の電話番号が「TEL.62」と二桁(けた)なのが時代を感じさせる。電話の右側のハンドルを手回しして交換手を呼び出していたのが思い出された。「ガラガラ電話」とも呼ばれた記憶がある。生家にいつ電話がついたかは覚えていないが、番号は「40」だった。

 パンフのサロマ湖観光略図やモデルコースに国鉄が載っているのも懐かしい。高校通学に国鉄の湧網線と名寄線を使っていたので、これを見たときはテンションがちょっと上がった。紹介されている五つの観光モデルコースの中には国鉄のほかに、定期バスや貸し切りバス、さらに遊覧船やヨット、ボートも登場する。

 保存されているパンフの数では、チューリップ公園関連が多い。旧上湧別町時代からの湧別町を代表する観光資源であり、62年にオランダ風車型管理棟が建設され、初めての「1987チューリップフェア」が開かれている。

チューリップパンフレット1
チューリップパンフレット2

 その年に発行されたパンフは、タイトルに「春、花香る夢の国へまいりましょう。」とある。おしゃれというか、メルヘンチックというか、レトロ感も漂う(あくまで個人の感想)キャッチコピー。このときの名称は「チューリップ園」。翌63年に正式に町立の「チューリップ公園」として指定された。

 チューリップ公園のガイドは年代ごとに姿を変えていく。

年代ごとのパンフレット

 写真左から1990年代、2000年代、2010年代、右端は2024年の発行。平成21(2009)年の合併前後のパンフだが、並べてみるとカラフルで華やか。多分、この間にも別のパンフがあったのだろう。

 念のため、左端の1990年代のパンフは表紙に旧名称の「チューリップ園」とあるが、中面では正式な「チューリップ公園」と紹介されている。

 キャッチコピーといえば、四文字がはやりだったのか。平成に入った1990年代のパンフには「走見遊食 ナイスポイントひとりじめ完璧POWER UPガイド」(湧別町観光協会発行)や、「爽遊感食 ひろびろ北海道 湧別原野とサロマ&オホーツクの旅 POWER UPガイド」(網走支庁管内観光連盟発行)があった。

1990年代のパンフレット

 後者は湧別町を含む網走地域全体のガイドだが、内容を端的に表す四文字だけではなく「POWER UPガイド」の文字もおそろい。

 「走見遊食」の湧別町のパンフでは、文字に沿ったドライブ・観光スポットやイベント、グルメが紹介され、それぞれに「この風景のほかには何もいらない。光がある、風がある、体に感じる音がある」といった詩的な文章が添えられているのが、新鮮に映る。

誌的な文章が添えられたパンフレット

 合併前に発行された町全体のコンパクトなガイドも保存されている。湧別は「まるごとガイド」、上湧別は「みどころガイドブック」。ともに地図が付いていて、お勧めスポットやイベント、食事どころ、宿泊施設などを網羅している。

まるごとガイドとみどころガイドブック
お勧めスポットやイベント、食事どころ、宿泊施設などを網羅

 湧別のガイドを左から平成16(2004)年、18年、20年と発行順に並べてみると、同じ「まるごとガイド」のタイトルでも表紙はがらりと変えていて、工夫していることがうかがえる。

年代ごとのまるごとガイド

 時は流れ、令和5(2023)年には32ページ建ての「JP01湧別町」(写真左、右は翌6年の改訂版)という新たな冊子スタイルのパンフが登場。町の歴史や産業、移住・子育て支援策なども取り込み、一部は物語仕立てで町での暮らしや産業などを紹介している。

JP01表紙

 観光パンフレットは人々を町に導くナビゲーターであり、その地域の歴史や特色を知る手がかりになる。仮に行けなくても手にするだけで旅行気分が味わえる存在でもある。こうした情報はネットで手軽に手に入れられる時代だが、それでも紙で手に取り、ページをめくるのはパソコンやスマホの画面では得られない楽しみがあり、捨てがたい作業だ。観光パンフレットマニアとしては、これからも紙のパンフレットやガイドブックが存在し続け、変化や進化を遂げていくことを願うばかりだ。

 最後にイベントのガイドを紹介する。昭和60(1985)年9月9日、湧別町登栄床漁港で開かれた「‘85サロマ湖フェスティバル」。常呂、佐呂間を含む3町でつくる実行委員会の主催だった。なぜ取り上げたかというと、催しが「なんかすごい」と思えたからだ。

’85サロマ湖フェスティバルパンフレット1
’85サロマ湖フェスティバルパンフレット2

 「オホーツクジャンボ汁」は5,000人分が調理できる直径3メートル、重さ2.5トンの南部鉄の鍋が会場中央に「デーンと構え」とある。鍋は長沼町で作られた物(借り物?)のようだが、食材は何だったのか。カニやホタテ、カキ、鮭? 何味?

 加えて「北島三郎ショー」。「ご存知"演歌のサブちゃん"が自ら出演を希望、専属バンドをひき連れての登場」との"解説"まで付いている。「函館の女」はもちろんだろうが、前の年に原譲二のペンネームで自ら作曲して発売した「まつり」は歌ったのだろうか?

 ネットを駆使して調べても、このフェスティバルのことはわからなかったが、いろいろと想像するのも楽しいもの。

 企画の1~3弾で紹介した資料がどういった経緯で所蔵されることになったのかはわからないが、さまざまな発見や出会いがあり、郷愁も誘う道立図書館の"旅"だった。

(取材・文/ふるさと特派員 島田賢一郎)