ゆうべつ@サッポロ/ホタテ


 札幌市の中心部で、さん然と輝く「オホーツク 湧別」の文字。ちょっと大げさですが、これがけっこう目を引くのです。

モユクサッポロの外観

ここは狸小路3丁目。昨年夏にオープンした複合ビル「モユクサッポロ」の1階にある「ふりっぱープロデュースOMOTASE-HONPO」(おもたせほんぽ)です。スイーツなどの手みやげ品を扱う店の一角に「湧別」の名が入った写真パネルが飾られ、棚に鎮座するのはホタテの干し貝柱です。

 道都のど真ん中で湧別の文字を見かけたのは珍しいというか、初めてのこと。これは記録に残さねばと、「ふるさと特派員」を名乗って声を掛けると、お店の岩崎彩花さんが「どうぞ自由に撮ってください」と気さくに応じてくださいました。撮りやすいように整理までしていただいて無事撮影完了(写真パネルは現在、店内の模様替えのため外されています)。

湧別産のホタテ干貝柱

 店を手がけているのは生活情報のフリーペーパー「ふりっぱー」を発行する札幌市の会社「総合商研」。海産物の展示販売を考える中で、取引のある会社を通じて湧別漁協の干し貝柱を扱うことになったそうです。

 ホタテの干し貝柱といえば、そのままかじって良し、料理に使って良し。じわっとうま味が出ますよね。もちろん「活」で刺身、殻付きのまま浜焼きなどなど、食材として優れているのはご承知の通りです。

 オホーツク海はホタテの一大産地。その一翼を担う湧別町では、海で採取した「ラーバ」と呼ばれる赤ちゃんをサロマ湖で1年かけて稚貝に育てます。この稚貝を漁船で海にまいて自然の中で成長させ、3年後に水揚げ。ということで、湧別のホタテは生まれも育ちも湧別。栄養たっぷりの海で運動量豊富に育つので、うま味も食べ応えもある自慢のホタテになるのですね。

 もちろん、「おもたせほんぽ」で販売する干し貝柱も、加工まで「オール湧別」の完結品。実は、店で扱うのは海外からのお客さんに広めたいという思いもあるからだそうです。

 ニュースで触れた人も多いでしょうが、東京電力福島第一原発の処理水放出で中国が日本の水産物の輸入を停止しています。湧別のみならず、北海道、日本のホタテ産業に影を落とし、関係者は国内での消費拡大や新たな輸出先開拓などに力を注いでいます。

 そんな中、湧別町内ではこの3月から最新の機械を導入した湧別漁協のホタテの加工場が新たに稼働し、安定した生産態勢づくりや品質の向上を目指しています。刈田智之町長の言葉を借りれば、「日本のホタテと言えば、湧別のホタテになってほしい」との願いも。湧別のホタテが「海外市場を席巻」―なんてなればうれしいし、ワクワクしますね。

(取材・文/ふるさと特派員 島田 賢一郎)

 初めまして、湧別町のふるさと特派員を務める島田です。札幌圏で見つけたり、出あったりした湧別にまつわるモノやヒト、情報を発信していきます。