田渕隊員の「活動リポート」(11月27日更新)
令和5年度
11月27日 初心に返る(野鳥編)
最近はジビエ事業も忙しくなり、今私が取り組んでいることのご報告のような記事が多かったのですが、移住して3年が過ぎ来春には卒隊するという今このタイミング。改めて移住した当時の新鮮な気持ちを振り返ってみて、自分の心境がどう変化したか(変わっていないか)を知るためのヒント探しのようなことをシリーズでやってみたいと思います。第一回は野鳥編です。

元々野鳥観察が趣味だったので湧別に来た当初は本州とは違う野鳥の種類や豊富さに感動し、皆様にお伝えしておりました。そして、最初のころは林業のお手伝いをしていたので森や林を住みかにする野鳥をよく観察していた記憶があります。
最近は、ジビエの作業場がある平地、農耕地と家を行き来することが多かったので、自然と農地や平野を好む野鳥をよく見ます。スズメは特に珍しくもない鳥ですが、作業場近辺でもよく見かけるので親しみのある鳥です。彼らは人間の作った建物の軒下に巣を作る習性になってしまったので、もはや人間と共存していくしかないと言われています。またその軒下も最近の家からはなくなり、都市部ではマンションなどのコンクリート造の建物が多くなったので、都市部でのスズメは減少傾向にあるともいわれています。そう思うと、ありふれた鳥であるスズメにもなんだか目を向けたくなってくるのです。

秋になると渡り鳥がやってきて、これももはや風物詩だなぁと当たり前のことと受け止めるようになってきましたが、それでも大挙してやってくる鳥たちの迫力に感動しますし、特に鳴き声にはある種の切なさというか哀愁のようなものがあってそれを聞いていると野生に呼ばれているような何とも言えない気持ちになります。
農地は彼らも居心地が良いようでたくさんの鳥たちが飛来してきますが(よく見るのはマガン、ヒシクイ、オオハクチョウでしょうか)、仕事で毎日同じ道を通っていると同じ地区内でも集団が移動していることがわかります。それはおそらく農作業で土を起こした後であるとか堆肥をまいたとかそういう条件によって場所を変えているんだと思います。食べるものが獲りやすいとか居心地が良いとか条件の詳細はよくわからないですが鳥によって好みも異なっているようにも思います。
一つ思うのは、単純に農業が盛んで渡り鳥の休憩地として適しているからたくさんやってくるというだけでなく、大昔の湧別原野がいわゆる扇状地でそもそも渡り鳥の休憩地として適しており、その記憶?があるからやってきているのではないかという気がしています。それがDNA的に刻まれているのか、先輩ドリに教わって語り継がれているからなのか、どういう仕組みなのかはわかりません。なのでただの推測ですが、なんとなくそういう風に思っています。


まぁ農家さんからしたら「耕起したり尿散布したあとに鳥が来てるだけだよ?」って感じかもしれませんが、そこに渡り鳥たちが太古の広野、湿地を幻視してやってきていると思ったらなんだかロマンがあるような気がするのです。私もそういう風に見立てているだけなのかもしれませんが、ともかくそういうところで生活しているんだということに改めてわたしは湧別に来てよかったなぁとしみじみ感じるのです。
写真には撮れていませんが春と秋にはタンチョウもよく見かけますし、ハヤブサのような小型の猛禽類と思しき野鳥も見かけました。農耕地の中に小さな林が点在しており、周辺には湖沼、河川も点在しているのでこういった環境を好む鳥たちにはかなり条件のいい土地なんだろうなと思います。
なかなか時間が取れずじっくり観察する機会は減りましたが、これからも自然の営みを感じながら生活していきたいなと思います。
10月4日 鹿肉料理エトセトラ
今年になってシカ肉(ジビエ)の事業を継承しましたが、「シカってどんな料理がおいしいの?」「ブロックのお肉を買ってそのあとどうやって作るの?」と本当によく聞かれるようになりました。そのくらいみなさんシカ肉に馴染みがない、ということだと思います。僕も三年前まではそうでした。
ところが当の本人も調理については素人でして、食肉処理業の許可は持っていても調理師免許を持ってるわけではなく、これぞ鹿料理でございますというものはなかなか説明できなかったりします。
とはいえ、みなさんもしゃちほこばった(かしこまった)メニューレシピが聞きたいわけでもなく、要はお手軽にさっと作れる鹿レシピが知りたいだけなんだろうなということも最近なんとなくわかってきました。(もし、本格的鹿料理に挑戦したい!という方がいましたら迷わずインターネットのお料理サイトをお勧めします。昨今のジビエブームで本当に色々な料理が紹介されています)
そういうわけで今回は、私が普段作っているお手軽シカメニューをご紹介したいと思います。なにせ私が普段作っているものなので本当に簡単です。分量とかも適当ですが、適当でも大体それっぽく作れるくらい簡単な料理です。
すき焼き「風」シカ煮込み

すき焼きなんてずいぶん豪勢じゃないか!と思われる方もいるかもしれませんが、「風」であって本式のすき焼きではありません。フライパンの上に油をひいて、適当に切った鹿肉を焼きます。表裏と焼き目がついたところですき焼き向きのお野菜を盛ります。春菊や小松菜などの葉のものや、もやし、キノコ類がいいと思います。あとはしょうゆをひと回ししてふたをして弱火で煮込めばOKです。ちなみにしょうゆは昆布醤油がベストだと思います。僕は移住してからすっかり昆布醤油派になってしまいました。
使うお肉はモモがいいと思います。柔らかすぎず硬すぎず。肉のうまみもしっかり味わえると思います。お給料日はロースで本当にすき焼き!というのもいいかもしれません。
鹿スープ

これはアウトドアカフェイベントで、元協力隊の野田さんに教えてもらったスープをアレンジしてみたのですが思いのほか簡単にできたのでおすすめしたいです。
スープといっても、味付けは塩だけであとは野菜と肉のうまみだけのシンプルスープですが、はっきり言って普段はこれで十分でないのという感じのおいしさです。使った野菜は、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、にんにく。ブロッコリーやキノコをいれてもいいでしょうね。
お肉はスネ肉を使用。少し硬めのお肉ですが、弱火で一時間も煮込めば程よいやわらかさに。腱の部分もぶつ切りにして一緒に煮込めばコラーゲンのトロッとした触感も楽しめます。鹿に限りませんがお肉はよく使う筋肉ほど硬くなり、同時にうまみも凝縮していますので、煮込んでそのうまさを引き出し同時に柔らかく食べやすくするのはとても理にかなった調理法です。煮込んでいる間は仕事も進められるので(火の注意は必要ですが!)、「タイパ」もいいレシピですよ。
シカザンギ

僕はお酒を飲む人なので、どうしても酒のアテを作りたくなってしまうのです。そういうわけで今回の趣旨からはちょっと外れますが、シカのザンギです。鶏肉ならともかく、脂っこすぎないかと心配な方もいらっしゃると思いますが、実はシカ肉も非常に低脂質で揚げ物にはマッチした食材です。高温で上げるとどうしてもお肉が固くなりがちですが、ヒレ肉を使うと元が柔らかいので、外はサクサク、中はジューシーの理想に近いところに持っていけると思います。
「思います」というのは、やはり揚げ物は温度管理が難しいのでたびたび失敗しており、正直これが正解というのはまだわかりません。すみません、いい加減な紹介で。

牛と違ってシカのヒレ肉はとても小さいです。(写真のペットボトルキャップと比較してみてください)なので、どんなに頑張っても一口サイズ大のザンギにしかならないと思いますが、そういうものだと思って使ってみてください。鹿肉とは思えないくらい本当に柔らかいですよ。
そして、こんなお肉がシカ一頭から左右1本ずつしか取れない希少な部位なんですね。使い勝手が悪いので販売しづらいところなんですが、やはり余すことなく使いたいなと思っています。
以前は、料理のことは調理のプロに任せた方がいいのかも、餅は餅屋だ、と思っていました。しかし、ジビエ事業を継承して以来、やはりシカ肉の活用を啓蒙してこそ事業の意義が高まるという思いもわいてきました。調理の方はまだまだ素人ですが、今後もいろいろなレシピに挑戦して皆さんに教えられるようにしていきたいと思います。そしていつかは湧別を代表する商品を開発できたらいいなと思っています。
皆さんも、ぜひシカ肉料理にチャレンジしてみてください!
8月17日 盆おどりあれこれ
先日、地域の盆おどりに参加してきました。今回も自治会班長として準備から関わらせていただきました。前回記事でご紹介した馬頭祭、交流会と同様、またしてもカルチャーショックがありましたのでご紹介したいと思います。


盆おどりの準備に関わるのも初めてだったわけですが、地域の皆さんも4年ぶりの開催ということでやや探り探りの様子でした。とはいえ、何年もやってきたイベントなのでやぐらのセッティングや電飾の配線などほとんど午前中にも終わりそうな勢いでした。
ところがやはりブランクが影響したのか、劣化している器具などがあり、急きょ別のものを用意したり配線をつなぎなおしてもらったりと意外に時間がかかり何のかんので15時ごろまでは準備に要しました。コロナ禍の影響がこんなところまでも!という気持ちがしました。


今回、準備もそうなのですがおどりの審査委員もオファーをいただきまして、これが初めてのことでどうしたらいいのか非常に不安に思っておりました。
そもそも、盆おどりの審査がある、というのが驚きでして、おそらく内地にはそういったことはあまりないのではないかと思っています。審査して景品まで出るというのはかなり地域的な特色なのではないかと思っています。


そして、盆おどり自体が割と参加型というか住民主体でやるというのも私のおぼろげな記憶とかなり異なっています。遥かさかのぼること40年前の大阪では確か、着物姿のプロの踊り手さんがおどっていてあまり実際に参加する大人はいなかった記憶です。そして、子どもはたまにアラレちゃん音頭のような子ども向けアニメの曲が流れてそれをおどるというイメージです。メインは屋台のお菓子や射的でどちらかというとその遊びに行くイメージでした。
他地域の友人にも聞いてみましたが、やはり何曲かかけてめいめいが自由に踊ったり休んだりするというのが主流のようです。歌謡曲で踊るという地域もあるそうです。
皆さんご存じのとおり、湧別では子どもおどりと大人おどりの二部制で、おどりだけでなく仮装もあり、そしておどりの審査によって景品が贈呈されます。曲も同じ曲でひたすら踊り続けます。子どもの踊りはチャチャンガチャンのあの曲だけで、子どもおどりの部が終わるとおやつが全員に配られます。このシステムが結構衝撃的でした。
そしてずっと同じ曲で踊り続けるのでかなり耐久戦的な様相に見えましたし、審査する私も新しく参加する人がいないか、常にチェックしていて結構大変でした。ですが、おそらく元来の盆おどりの文化から考えるとこのおどり続けるということ自体に意味があるはずで、むしろ伝統的な盆おどりに忠実なのではないかと、私のつたない知識では思ったところです。非常に興味深いなと感じました。


そして芭露太鼓愛好会の皆さんのおはやしや、生歌による歌唱(非常に豪華だなと思いました)も大変すばらしかったです。ほとんど一時間、繰り返し途切れなく演奏、歌唱が続いていたのですさまじい体力、エネルギーだなと感服いたしました。クオリティもハイレベルでした。

審査については、とにかく私自身がおどりのことをよくわかっていないので、元気よくやっているかと動きのなめらかさなどを基準に審査させていただきました。
この審査結果に基づいて順位が決まり、結果発表してその場で景品のお渡しとなります。この景品も結構豪華で米10kgとか飲み物の箱セットとか高級果物とかすごいふるまいっぷりでした。
わたしの協力隊活動でもあるジビエ事業からもエゾシカ焼肉セットをご提供させていただきましたが、喜んでいただけたかどうか。ぜひ感想などお寄せいただければ幸いです。
20時半ごろに終了し、そこから片付けもほとんど当日のうちに済ませて解散となりました。怒涛の一日でしたが、地域の皆さんのお祭りにかける情熱がすごいなと改めて思った次第です。
今回は東地区の盆おどりのご紹介でしたが、これから実施する地域もありますしそれぞれで特色があるかもしれませんので、ぜひ皆さんもそれぞれの地域の盆おどりに参加してみてはいかがでしょうか。
7月19日 地域のお祭りに参加しました
先日、わたしの住む東地区にて馬頭祭と運動会、交流会が催されたので参加してまいりました。今回は単なる参加者というよりも自治会班長としてお手伝いさせていただきました。コロナ禍の影響で4年ぶりの開催となったため初参加だったのですが、いろいろ新たな発見がありました。


まずそもそも馬頭祭というものが初めてで、これはかつて農耕で使役された牛馬を労ったり弔ったりする意味で馬頭観音を奉って行われていたとのことです。今ではほとんど機械化されているので本来の意味合いではないのですが、牛は乳牛、肉牛として身近な存在ですし、自分も鹿という動物から恩恵を授かっている者なので非常に神妙な気持ちで参加いたしました。
特に興味がひかれたのは式の途中でほら貝を吹くくだりがあり、あまりほかの祭事では見られないように思ったので式の終了後に住職にお願いして写真を撮らせていただきました。

貝殻はもちろん本物で石垣島産とのこと。大きさがすごい。この貝殻に吹き口を取り付けてあの悠久の時を感じる音色が響くわけです。
式典が終わると、地域交流会ということで焼肉用のシカ肉をご提供させていただきつつ、ポップコーン製造を担当しました。皆さんこの機械を「ドン」というので、なんのこっちゃと思っていたのですが、本州でいうところの「ポン菓子」の製造機も北海道では「ドン」というらしいので、どうやらはじけるお菓子を作る機械は全部「ドン」ということみたいです。なぜ北海道だけ音が重厚になっているのかは謎です。
そして、ドン、ことポップコーン製造機がまた加減の難しいシロモノで、一応説明書どおりに塩を振ったのですがどうも薄味で、かといって豪快に塩を入れると機械のふちに塩がたまるだけというなかなか熟練の技が必要なマシンでした… ちびっ子たちに喜んでもらえたかどうか…

シカ肉の方は、自治会の皆様からリクエストをいただきご提供させていただきました。思ったよりやわらかかった、くさみもなくおいしいと好評だったので安心いたしました。なかなか皆さんシカ肉を食べる機会もないと思うので、こういうときに食べていただけるとうれしいなと思います。

そして最後に、これも初めてのことでしたが餅まきというイベントがあり、本当に餅をまくのだなぁとびっくりしました。最初は餅まきという言い方だけで、本当は餅(ないし別のもの)を配るのだろうと思っていたのですが、事前の段取りの話など聞いているうちに、「あぁこれは本当に餅そのものをまくんだな」とわかり衝撃を受けました。

なんで餅なのか、なんでまくのか、と疑問が残りましたが、皆さん楽しそうだったのでそういうことなんだろうと納得しました。
ほかにも海水浴じゃないのにスイカ割りとか、綿あめをふわふわに作るのは結構むずかしいとか、いろいろカルチャーショックがあり濃厚な一日となりました。
来月には東地区の盆踊りも控えているのでそちらの方の準備も進めながら、また新しい文化的発見を期待して待ちたいと思います。
なお、お祭りやイベントでシカ肉を使いたいという方はご遠慮なく田渕までご連絡いただければと思います。屋台出店や調理済みのシカ肉の提供など、業務の都合や食品衛生許可のかねあいで難しい場合もありますが、ご相談に乗らせていただきます!なにとぞよろしくおねがいいたします。
6月12日 ツノや皮の利用について
事業継承してから、シカ肉づくりに取り組む日々を過ごしておりますが、実はお肉ばかりでなくツノや皮の活用に向けても動き始めています。せっかくとった鹿なので余すことなく使わせていただきたい、という思いも前からあったのでゆくゆくはツノ製品や皮製品も手掛けたいと思っておりましら、ありがたいお話が舞い込んできたので二件ご紹介したいと思います。

一つ目は素敵なツノのキーホルダー。こちらを作っていただいたのは町内在住の菅野やえさん。趣味でこういった作品作りをされているそうで、ツノもぜひ使ってみたいということで何点か作成いただきました。鹿のツノはキーホルダーとして重すぎず軽すぎず、ちょうどいい感じだなと思いますし、チャームがついてるものなどアクセントも効いていて素敵な仕上がりになっていると思いました。
元々のツノの色味を残したものも、逆に磨いて白くしたものもどちらもそれぞれの味わいがあっていいですよね。こういう一点もののアイテムというのは需要があるので、販売してみたいなと思っているところです!
もう一つはシカの皮の活用です。札幌市にあるNPO法人ezorockさんと提携し、シカ皮の裏すき体験用に皮を提供させていただくことになりました。裏すきとは皮をなめす前に原皮をきれいにする前処理のことで、一般の方でも十分できる作業になります。裏すき作業後に業者さんに依頼してなめし、エゾシカレザーとなります。レザーはクラフト小物や皮ジャケットなどに活用されます。
通常の生産工程とは異なり、シカによる被害対策として捕獲された個体の活用を進めることや、自然体験の一環としてボランティアの皆さんが作業するというところがポイントになります。若い人たちへの鳥獣被害対策についての啓蒙にもなりますし、商品を買ってくれるお客様にも意義のあることとしてアピールできますし、多くの利点や社会貢献性に私も賛同して参加させていただきました。
そして、通常は札幌近郊で開催している裏すき体験が今年の夏には湧別町までいらっしゃってのツアーとなる見込みで、いわゆる関係人口の創出にもつながりそうな流れとなっています。
※関係人口:「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。(総務省HPより)
また、体験プログラムの"EZO WOLF STORY"というネーミングもとても素晴らしいと思います。
かつて北海道に生息していたエゾオオカミを人間が滅ぼしてしまった。彼らの捕食対象であったエゾシカが増加してしまったことの一因でもあり、それが今問題になっている。だから、人間が滅ぼしたオオカミになり替わり責任をもって増加した鹿に対する対策を行い、捕獲したシカは余すことなく活用したい、という考え方の反映で、とても自然でモチベーションの高まる考え方だなと感じました。
事業継承前から、ただジビエの会社を引き継ぐだけでなく社会貢献につながるようなプロジェクトを進めたいと考えてきましたが、このように各方面の皆様のご協力やオファーにより実現が見えてきているところです。
今後も新しい取り組みが出てきましたら逐次ご報告したいと思います!
4月28日 道具の手入れ
新年度になり、役場の仕事を離れてジビエ(鹿肉)事業の継承の準備にまい進しています。
そもそもどんな仕事をしているのか?と皆さん疑問に思われると思うのですが、そちらは広報5月号にて記事にしましたのでそちらをお待ちください。

唐突に刃物の話になりますが、先日ふと刃物をちゃんとメンテナンスできるようにならないと、と思い立ちました。自分は捕獲した鹿をジビエとして活用しようとか、鳥獣被害対策に貢献しようとかそういう理念的なところから入ってしまったので、そもそもお肉をさばく人として道具にもっと注目しなければならないと、そう思ったわけです。
「包丁」というのは中国の料理の達人の名前が語源だそうで、お肉をさばくスピードがすごかったのでのちに料理用の刃物を包丁と呼ぶようになったということなんですが、そのぐらい料理(食べ物)には道具としての刃物が重要だという話なんです。
そういうわけで包丁の研ぎ方の一例をご紹介します。

写真のように刃を自分の側に向け、角度をつけて滑らせます。砥石はいろんなタイプがあるので使い方をよく見て使用しますが、基本的には水でぬらすということが大事です。あと奥に向かって下り坂にして、刃の向きに対して巡目に滑らせたときに力が入るようセットします。(逆目の時は浮かせ気味に引くのがいいようです)
研いでいるとだんだん刃の研いでいる面の逆側に反り返りの引っ掛かりを感じるので(時々手を止めて指の腹で触って確認します)、そうすればうまく研げてる証拠です。最後に逆側をさっとなでるように研いで、返りを取ったら仕上がりです。
※これは片刃の場合のやり方です。刃物の種類や人によっていろいろなやり方があると思いますので一例と思ってください!

ちょっと特殊な道具ですが、研ぎ棒というものがあります。
棒の部分に刃物をあててシャッシャッと滑らせると切れ味が戻るという代物です。作業中に使う簡易の砥石みたいなイメージですが、実は研いでいるわけではなく、刃についた脂などを落として切れ味をよくするための道具ということらしいです。実際に切れ味は多少戻るので意味はあるのでしょう。
刃の当て方が難しく、適当にやってると意味ないらしいので練習が必要です。
切れ味のいい刃物は何より安全です。切れない刃物で頑張っていると余計な力が入りケガする元となります。また、切れる刃物のほうが段違いで作業スピードが早いです。何につけてもメンテナンスは大事だと思いますが、刃物においても同様だと感じました。
弘法は筆を選ばず、と言いますがその意味するところはどんなものでもということではなくて道具の種類やグレードのことを指しているのであって、手入れだけは上手の人ほどしっかりやるものだと思っています。今使っている刃物は師匠のお下がりですが、ひとまず新品にこだわらず手入れをしながら大事に使っていきたいと思います。

ちなみにこちらは、既製品の組み合わせで自作した刃物の「煮沸消毒器」。単純な作りですが煮沸消毒に必要な83度のお湯をキープしてくれる優れものです。もちろん厨房器具や医療用器具で専用の製品はありますが、かなりお高いので自分で作ってみました。費用は約10分の1! 衛生面での性能は全く変わりません。こういうアイデア勝負のDIYするのも面白いですね。
お問い合わせ先
企画財政課未来づくりグループ(上湧別庁舎)電話01586-2-5862